2020年5月7日木曜日

SRX NEWエンジン慣らし完了

相変わらず作業始めると手が油まみれ+一気に進めてしまうため,写真は少なめ。

4月初めに家の作業場でエンジンを載せ替え。

5万キロ以上お疲れ様な旧エンジン。
載ってる時はそこまで気になっていなかったけれど,単体になると思ってた以上に汚い。

緊急事態宣言下のため遠出が出来ないものの,家の近くで何とか500kmのナラシは終わらせた。

エンジンを載せて最初からあっさりエンジンは始動。
以前と同じFIセッティングのままだと14:1程度に合わせていた実用域の空燃比が15:1~16:1辺りまで薄くなっていた。
数字的には7~14%ほど吸入空気量が増えているようなので,ログデータを見ながらセッティング調整。
FIだと空燃比からそのままマップ値の補正量が分かるのでこういうセッティングは非常に楽。

エンジン再塗装時にブラストを打っているので,最初50km,2回目200kmでオイル交換。
組み立て前にかなり洗浄したものの1回目はかなりブラスト粉が出てきた。
この辺りは最初から短時間でオイルを抜くつもりだったので,使用オイルはホンダのG1。
1000円/1Lを切る値段で買えて品質はホンダの保証付きなので,こういう時には良いと思う。
3回目のオイルはホンダのG3にしてみた。
1700円/1L程度で化学合成なので意外と良いんじゃないかと。
あとホンダの純正オイルは10W-30でちょっと粘度低めなので,今回のエンジンには合うんじゃないかという期待も。
500km段階で慣らし完了のオイル交換もG3。

ナラシ方は,こんな感じでやってみた。
~200km:4000r/min・スロットル開度30%上限
~300km:5000r/min・スロットル開度40%上限
~400km:6000r/min・スロットル開度60%上限
~500km:7000r/min・スロットル開度80%上限
何となく様子見ながらFIセッティングしながらだったのでこんな感じなので,このやり方に深い意味合いはなし。

また,500km段階でオイル交換ついでにクラッチカバーを外して,以前から準備していたアシスト&スリッパークラッチを組み込んだ。
実はこっちも足掛け2年だったりする。

本当は今回のエンジンに最初から組む予定だったけれど,合わせてみての追加工や一部足りない部品の追加発注があったため,とりあえず標準クラッチでナラシは進めていた。
プライマリードリブンギアを分解して,純正他車種用クラッチ本体とダンパースプリングとギアで3個1で組み立て。
その他クラッチカバーの追加工等々。


クラッチ交換まで終わった状態。見た目はエンジン回りがキレイになった程度。
3回目までのオイル交換は自宅でやった物の,クラッチ組み換えと4回目のオイル交換はいつものバイク屋さんで場所を借りて進めた。
正直3L近いオイルを何回も廃棄するのは家庭ゴミだとちょっとつらい。

NEWエンジンのフィーリングはほぼ狙い通り。
FIセッティングが全開側ではほとんど変化無かったので,空気量自体がほぼ変わっていない=最高出力変化はほぼ無いはず(フリクション低減分を除く)。
ただそこまでの中間域のトルクとふけ上がり方がとても良くなっている。
クランクバランス取り直しが効いているのか,振動も少なく一気にふけ上がっていく。
アルミスリーブ化のお陰か,油温もかなり低くなっていて,外気温25℃ぐらいでオイルクーラー塞いでドレン油温が最高100℃。
外気温が15℃だとオイルクーラー塞いでいても90℃安定なので,正直オイルクーラー要らないんじゃないかという状態。
燃費は安定して1割程度良くなっている。
ミッションのタッチは非常に良い。ただ1速がローレシオになって,2速とのレシオ変化が大きくなってしまったため,1速のエンブレがちょっと強いのと,1→2速時のクイックシフターの変速ショックがかなり大きくなった。
アシスト&スリッパークラッチについては,正直SRX用にセッティングされているものでは無いので,スリッパーが効いているかはちょっと微妙。
でもトルクの増えたエンジンで滑ることも無く,クラッチ操作は軽くなったので,その分の恩恵はあったと思う。
3SXノーマルを10とすると,右引きレリーズで7,アシスト&スリッパーで5ぐらいの感覚。

感想としては,ヤバイエンジンになっちゃったなぁという感じ。
別にパワーがすごく増えたわけでは無いし,相変わらず乗りやすい特性にはなっているけれど,特にパーシャルで加速していく時のフィーリングが「なんかヤバイ」。
自分で作っておいて「なんかヤバイ」って感想はどうなの,と思うものの,ナラシ中乗るたびに「なんかヤバイエンジンだなぁ」と思わずにはいられなかったのでしょうがない。
感覚的に一番近いのは,原付と250オフしか乗ったこと無かった高校生の時に,初めて250ガンマに乗った時の感覚。「ナニコレスゴイヤバイ」のあの感覚。
とりあえず今までもオイル消費が多い以外は調子が悪い感じは無かったけれど,やっぱりFIセッティングで隠れていただけだったんだなぁとも思う。

とりあえず足掛け5年かかったエンジン載せ替え計画はひとまず完了。
耐久性は実際に乗って確認するしかないので,今は分からない。
計画通りなら結果が出るのは20年後だけれど…。




以下個人的な仕様の忘備録。
NEWエンジンの仕様を決めた時の狙いとしては以下。
 ①耐久性があること(20年10万km調子が維持できるエンジン)
 ②フリクションロスの低減と燃焼効率向上
 ③ギアポジションセンサーの追加
 ④最高出力はノーマルと同じぐらい(①②が効いていれば多少増える程度)
 ⑤せっかくだから見た目はキレイに
 
それぞれに対して投入した仕様は主に以下。
 ①:ニカジルメッキシリンダー,純正流用鍛造ピストン(95mm鋳造比:ピストン重量40g減),クランク芯出し・ピン溶接
   5速フレッティング対策ミッション組み換え(XTZ660用:5速ギアの幅が太い)
   シリンダーヘッド廻りボルトのメッキ(ニッケル亜鉛メッキ)
 ②:・各部コーティング
    DLC:ロッカーアーム,ロッカーアームシャフト,バルブステム,
       ピストンピン,ピストンリング,メイン/カウンターシャフト,
       シフトフォークシャフト
    リン酸マンガン処理:カムシャフト,ミッションギア,シフトドラム
    モリブデン系コート:ピストンピン,シフトシャフト
   ・ケースベアリング:ケース圧入時にロックタイトで固定
   ・ピストンクリアランス:25μm
   ・ピストントップ:ハードアルマイト(流用ピストンの標準仕様)
 ③:クランクケース穴あけ,シフトドラム加工,センサー追加
   ・スリッパークラッチ導入に伴い,エンジン回転数/車輪速比でのギアポジ計算が動かない
    可能性があるため,シフトポジションセンサーの追加。
   ・FIハーネスの一部変更/加工
 ④:・排気量595cc(ノーマル608cc)
   ・圧縮比8.8:1(ノーマル8.5:1)
   ・ノーマルカムシャフト+XT600用タイミングスプロケット(全体にSRXよりバルブタイミングが遅れる)
   ・鍛造ピストンに合わせてクランク/バランサーバランス修正
 ⑤:各部ガンコート塗装
   ヘッド,シリンダー,ケース,オイルタンク,オイルクーラー,サンパー膨張室
   オイル配管は分解→金属部ガンコート,耐熱耐油ホース+ケブラースリーブで再組立て

2 件のコメント:

  1. SRX用スリッパークラッチってあったんですね。

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    1. >SRX用スリッパークラッチ
      無いですよ。社外品は知りませんが,少なくとも私が知る限りは無いです。
      本文に書いてある通り,他の車種用のクラッチ部品を3台分ほど分解して組み合わせて1セット作ってます。

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